死にたがりは恋をする
「痛っ!」

 目が覚めたのは自分のベッドだった。なんで、と思う前に、昨日の記憶が蘇ってきた。

 母に刺され、蹴られ、殴られ。沢山の暴力を振るわれたような、気がする。

 あの胸の苦痛は一体何だったのだろうか?僕には何も解らない。

 嗚呼、何も解らない、まず、覚えていたくもない事実。そんな事はどうでもいいのだ、今日も学校で、母さんは居ない。

 母さんが居ない日々は、至って平凡だ。

「カイト!」

 ふと、声がした方を見ると、アクトと雨矢が立っていた。

 なんで、雨矢まできてるんだろうか?たしか、雨矢は謹慎処分だったはずだ。学校に行くのに寝坊したとしても、迎えにくるのはアクトだけのはず。

「カ、イト、良かった…!!」

 その迎えに来た雨矢の方はというと、嗚咽を漏らしながら泣いていた。

「カイト、お前、三日も寝込んでたんだぞ」

 アクトがそう説明してくれた。

 まさか、あの程度の怪我でそんなに長い期間寝込んでしまったなんて、僕は随分と脆くなったな。あの時も、確かいつもと同じだったのに。

「お、え、俺っ!!」

 雨矢が呂律の回らないハスキーボイスで泣いている。

 僕は馬鹿だな、こんなにも沢山自分を思ってる人が、居るじゃないか。

 __なのに、この前と同じような痛みが襲ってくる。なんで、なんでなんだろう?

 __僕は、こんなにも幸せ者に成っているじゃないか。

 おかしい、可笑しい、オカシイ。

「ゴメン」
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