お前のこと、誰にも渡さないって決めた。
「………、」
私はというと、ぽかんと開いた口が塞がらず、ただただみっくんから目が離せなくて。
このとき、初めてわかった。
今までみっくんが学校行事で走る姿なんて何度も見てきたけれど、
そのどれもが全力を尽くし切った姿じゃなかったんだって。
余力を余していたんだって。
それでも十二分に速くて、いつも一等賞だったから気づかなかった。
だって、こんなみっくんの姿なんて知らない。
初めて見たんだよ。
離れていても伝わってくる。
さっきのアクシデントや、
クラスメイトの期待とか、声援だとか、
いろんなものを背負って走るその姿が、
いままでのいつよりも真剣な顔で、見たことのない速さで、駆け抜けるその姿が、
これがみっくんの “本気” なんだって。
「ちょ……っ、逆にやばいって!うちら追いつかれてるよ!?」
「嘘でしょっ!?」
ゴールまであと20メートルといったところ。
ついに、みっくんが翔太くんのすぐ後ろまで追いついた。