お前のこと、誰にも渡さないって決めた。
そっか……そういうことなら。
確かに、翔太くんならたくさんお客さんが集まってくれそう。
納得して、見送ろうとしたとき、香音ちゃんがふと思いついたように目を輝かせた。
「そうだ!ひまりちゃんも、一緒に行ってきたらどう?息抜きにもなると思うし!」
2人だと集客も倍になりそうだし!と、満面の笑みで提案する香音ちゃん。
「えっ……、私も……いいの?」
確かに、その提案は今の私にはありがたい。
さっきの一幕で、正直にいえば体力も気力も使い果たしてしまっていたから。
だけど、私が付いて回って迷惑じゃないかな……と遠慮する気持ちもあって。
そんな私の心情を察知してか、翔太くんはふ、と口角を上げた。
「いいじゃん、一緒に行こーよ」
「い、いいの?」
翔太くんって、神さまか何かなのかな?
助けてくれたり、こうやって優しくしてくれたり。
「ん、俺にとってはすげぇラッキー」
屈託のない笑みを浮かべた翔太くんに、香音ちゃんが ハイッ、と手渡したのは、持ち歩く用の大きな看板。
遠くからでも目立つように、派手すぎるくらいフリフリのそれを、翔太くんが肩に担いで。
「じゃ、行こ?」
教室を出ながら手招きする翔太くんに、ワンテンポ送れて後を追いかけた私は、走って隣に駆け寄った。