お前のこと、誰にも渡さないって決めた。


幸せモードでるんるんとする私を見て、翔太くんがほっとしたように微笑んだ。


そして、私ははっと気づいて。



「そ、そうだ!お代、本当に払うから……!」



そう、先ほどのお会計のとき、私が財布を出すのに手こずっている間に翔太くんが私の分まで払ってくれていたのだ。



私が自分の分のお金を渡そうとすると、翔太くんはやんわりと押し返した。




「そんなのいいよ」



「でも……!」



「俺からのクリスマスプレゼントだと思って?」



翔太くんが柔らかく微笑んだ。



一瞬身を引きそうになったけれど、でも。




「でも私、翔太くんになにもプレゼントなんか……」




準備していないのに、と告げようとしたせりふは、次に続いた翔太くんの言葉で掻き消された。




「今日、来てくれたことが、俺にとって何よりのプレゼントだから」




翔太くんの顔には嘘をついている様子はなくて、心の底から本気で言っているんだ……と伝わってきた。




翔太くんって、ほんとうに優しくていい人。



だからこそ、ずっと不思議に思っていたことがあった。





「どうして今日、私を誘ってくれたの?」







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