お前のこと、誰にも渡さないって決めた。
*
*


「ありがとうございました〜!」

「またのご来店お待ちしております」



カランカラン……





店員さんたちに見送られて、
パティスリー “Fraise Des Bois(フレーズ・ド・ボワ)” から外へ出た。



ひゅるり、と頬を撫でる風が思っていたより冷たくて、ぶるっと震えた。





「ひまりちゃん、どうだった?」




翔太くんはそんな私の顔を覗き込んで、どうだった?、なんて聞くけれど。



どうもこうもないよ。




「ほんっっとに、幸せだったよ〜っ」




そう、私たちは今、“Fraise Des Bois(フレーズ・ド・ボワ)” のクリスマス限定コースをいただいてきたところ。



それがもう、幸せすぎて。




程よい甘さの美味しすぎるスイーツが次から次へと現れ、


しかも見た目だってキラキラしてて、可愛くて。




あんなにスイーツを満喫できたことはないよ。




ここ数日、あまり食欲がなかったんだけれど、そんなことは関係なかった。


逆に、少し食べすぎちゃったかな……と思うくらい。




「そっか、喜んでくれたならよかった」




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