お前のこと、誰にも渡さないって決めた。

私もつられて、背筋がしゃんと伸びた。





「ひまりちゃんが、好きだよ」





そんな私の耳に飛び込んできたのは、

あるはずもない告白で。




一瞬、その “好き” は友達としてのものなんじゃないかと思いそうになったけれど。




「友達としてとか、そんなんじゃなくて。一人の女の子として、恋愛感情として、ひまりちゃんが好きなんだ」



「っ!」



翔太くんの口からはっきりと否定された。





「ずっと好きだったんだ。


入学したときから、すっげー可愛い子いるなって……まぁ、最初はそれだけだったんだけど。


でも話していくうちに、いちいち可愛いし、かと思えば努力家だし、気がつけば惹かれてた」





翔太くんが迷いもせずにぶつけてくれるのは、私に与えられるにはもったいなすぎる言葉の数々で。



そんな風に思ってくれてたんだ………、と今ここで初めて気づいた。




だけど私が翔太くんに、同じ気持ちを返すことは叶わなくて。



だって、私は、



「私……」




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