お前のこと、誰にも渡さないって決めた。


「あー!!」


夏奈ちゃんが、いきなり声を上げてストップした。

ドスンッ。
勢いのまま、私の頭は夏奈ちゃんの背中に突っ込んで。


謝ろうとしたんだけど、どうやら夏奈ちゃんは、私が突っ込んだことなんて気にも留めていない。


私が、きょとんとしていると……。


「ひ、ひまり、私たちのバスって何号車だったっけ……?」


不安そうな声の夏奈ちゃん。

なんだぁ……、そんなことかぁ。
夏奈ちゃんとは逆に、私は拍子抜けしてしまった。

だって、もっと深刻な問題かと思ったんだもん。


「2号車、だよ〜!」

「さっすが!」


ぱぁっと表情を明るくさせた夏奈ちゃん。

そんな夏奈ちゃんにまたもや腕を引かれ、半ば引きずられるようにしてバスへと駆け寄った。


*


バスに慌てて近づいたものの、一気に全員が乗り込むことなんてできなくて。

だから、結局、バスに乗るための行列の後ろに並ぶことに。



「ガラス細工、楽しみだーっ! どんなことするんだろうね?」


夏奈ちゃんが、ウキウキしたように私に話しかける。


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