お前のこと、誰にも渡さないって決めた。

ちらり、ともう一度右隣を見ると、今度は美結ちゃんがバスに乗り込むのが見えた。


あ……美結ちゃんも、一緒なんだ。
みっくんに合わせた……のかな。

たぶん、そうだよね。
一緒に買い物に行くほど仲がいいんだから……。



「ひまり?どしたの、浮かない顔して」

「……あ!ごめっ……なんでもない!」



夏奈ちゃんの声にはっとして、バスの指定された席に座った。

もちろん、夏奈ちゃんの隣だよ。


………にしても、そんなに浮かない顔してたかなぁ、私。


……きっと、美結ちゃんが羨ましいんだ。

プラネタリウムを選べばよかったって、一瞬思っちゃったんだもん。
それが、顔に出たのかも。


「はっ、ダメダメ!」

自分の頬をぱちんと叩いて、首を横に振った。


せっかくの臨海学校なんだし、楽しまなくっちゃ!
寂しい気持ちになってる場合じゃないよ!



自分にそう言い聞かせて、むんっと小さくガッツポーズを決めると、夏奈ちゃんはきょとん、とした顔で私をのぞきこんでいた。




*



「わー!綺麗……!」

思わず声が漏れた。
< 55 / 387 >

この作品をシェア

pagetop