あまりさんののっぴきならない事情
ちなみに、大学のときは、学食で食べていたので、お弁当箱は使っていない。
街路樹の陰から出て来た尊は呆れたように溜息をついて言う。
「帰ってきなよ。
もう見合いは断ったんだろ?
そりゃあ、父さんの会社的にも、相手の人と結婚した方がよかったみたいだけど」
うっ。
「でも、もう父さん断ったから。
これで会社が倒れても、それがあまりの意志ならって」
「待って。
うちの会社、別に経営怪しくないよね?
なに私に罪の意識を抱かせて帰らせようとしてんの?」
と言うと、バレたか、と言う。
酔ったノリで適当に娘の結婚を決めたくせに。
同窓会に来ていた恩師が、わしが仲人をしようと言い出したりして、引っ込みがつかなくなったようだが。
所詮は、酔っぱらいの戯言。
そのまま流せばよかったのに、何故、意地で娘を犠牲にしようとする、と思っていると、
「受ければよかったじゃん。
姉ちゃん好みの美形で、家も釣り合ってるし。
ケンブリッジ出てるんだろ?」
と尊が言い出す。
あんたも釣書読んだのか……。
街路樹の陰から出て来た尊は呆れたように溜息をついて言う。
「帰ってきなよ。
もう見合いは断ったんだろ?
そりゃあ、父さんの会社的にも、相手の人と結婚した方がよかったみたいだけど」
うっ。
「でも、もう父さん断ったから。
これで会社が倒れても、それがあまりの意志ならって」
「待って。
うちの会社、別に経営怪しくないよね?
なに私に罪の意識を抱かせて帰らせようとしてんの?」
と言うと、バレたか、と言う。
酔ったノリで適当に娘の結婚を決めたくせに。
同窓会に来ていた恩師が、わしが仲人をしようと言い出したりして、引っ込みがつかなくなったようだが。
所詮は、酔っぱらいの戯言。
そのまま流せばよかったのに、何故、意地で娘を犠牲にしようとする、と思っていると、
「受ければよかったじゃん。
姉ちゃん好みの美形で、家も釣り合ってるし。
ケンブリッジ出てるんだろ?」
と尊が言い出す。
あんたも釣書読んだのか……。