あまりさんののっぴきならない事情
「そんな人とは話合わないから」
と言ったものの、いや、成田さんとは合わないこともないな、と気づく。

 まあ、成田さんは、ケンブリッジ出て、何故かカフェでバイトをしている変わり者だからな。

 いや、カフェが悪いわけではないし、マスターとかすごく尊敬しているのだが。

 なにかやりたい勉強とか、大学名が活かせるような職種につきたくて、ケンブリッジに行ったのではないかと思うのに。

「まあ、ともかく、姉ちゃん、帰ってきなよ」

「嫌よ。
 このまま、帰ったら、また、適当に結婚話持ってきそうじゃない、お父さん」
と言うと、

「外の世界に出てみたかったのなら、何処か系列会社にでも入れてもらえばよかったじゃん」
と尊は軽く言ってくる。

「もう~。
 そういうんじゃないんだってばっ。

 私は、今、あのお店で働いてて楽しいのっ。

 尊、今度、お店に来てよ。
 ほんとに素敵なお店なんだからっ」

 はいはい、という顔を尊はする。
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