あまりさんののっぴきならない事情

 



「お、おはようごさいますー」

 成田が控え室に居ると、あまりがやって来て、ささささっとロッカーへと入っていこうとした。

 カフェの特集の載っている雑誌を見ていた成田は視線であまりを追う。

「あまり」
と呼ぶと、ビクついて振り返り、アコーディオンカーテンの向こうから顔を出してきた。

「な……なんですか?」

 なんだ、そのビクビクは、と思いながら、
「どうかしたのか?」
と訊くと、

「いえ。
 なんでもありません」
と言って、そのまま引っ込もうとする。

「嘘つけ。
 なんかあったろ?」
と言うと、

「べ、別になにもありませんよ」
としらばっくれるように言ったあとで、足を止め、言ってくる。

「あ、でも、今度刑事さんが此処にいらっしゃるそうですよ」

「いや……なんで、なにもないのに、突然、刑事さんが現れるわけ?」

 ついに警察に目を付けられるようななにかをやったのかと思ったが、そうではなかった。

「昨日の人、刑事さんだったんですよ。
 あのちょっぴり挙動不審で私を見てた人」
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