あまりさんののっぴきならない事情
 あまりのお隣さんなのだと言う。

「此処に服部さん……、あ、その刑事さんなんですけど。
 服部さんが追ってる人がたまに現れるそうなんです。

 こんな感じの人です」
とポケットからメモ書きを出してくる。

 それを見せながら、
「一応気をつけてくださいと言われました。
 でも、見てると悟られないようにって。

 それから、この話、内緒だそうです」
と気持ち顔を近づけ、こしょこしょっと言ってくる。

 なんだか、こそばゆくなるような可愛らしいさだ。

 あまりに見せられたその男の特徴を書いたメモを一読し、
「了解」
と頷く。

「とろこで、内緒って何処まで内緒なの?」
と訊いた。

 誰まで教えていいかわからなかったからだ。

「えーと。
 たぶん、大人数じゃない方がいいので、成田さんとマスター以外にはご内密にお願いします」
と言ったあとで、あまりはチラと店の方を見、

「あ、やっぱり、マスターにはそのうち警察の人が来るかもってことだけ伝えて、犯人の特徴については言わないでください。
 マスター、うっかり見つけちゃったら、じーっと見そうなんで」
と言ってくる。
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