あまりさんののっぴきならない事情
 ぷっと笑ってしまった。

 想像できたからだ。

 その男を見た瞬間、珈琲淹れながら、釘付けになる叔父の姿が。

 めちゃくちゃぎこちなく動きそうだ。

 かと言って、まるきり教えてなかったら、拗ねそうだし、あまりの言う通り、その程度の伝え方で教えておくのがいいようだった。

 さすが、的確、と思う。

 一見、とぼけているようだが、あまりの読みはいつも鋭い。

「ではっ」
とあまりは役目を終えた草の者のように去ろうとする。

「待った」
と思わず、
あまりの手首をつかんでいた。

「それ以外になにかなかった?」

「な、なにもありませんけどっ?」
と言う口調が調子っぱずれの歌のようで、余計、怪しい。

「……海里となにかあった?」

 核心を突かれたっ! という顔をあまりはする。

 ……本当にわかりやすい子だね、と思う。
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