あまりさんののっぴきならない事情





「新幹線ですっ」

 結局、海里と二人、駅のホームに居たあまりは、力強くそう言った。

「いや……見ればわかる」
と入ってきた新幹線を見ながら、海里は言う。

 いやいや。
 最初に二人で乗ったときのことを思い出し、感慨に耽って出た言葉だったのだが、かなり言葉足らずだったようだ。

 みんなより出発は遅れたが、夕食の時間には間に合いそうだ。

 なので、飢えたまま、新幹線ではなにも食べられない。

 着いたらすぐ、夕食だからだ。

 あまりの視線は、売店のお菓子を見ていた。

 物欲しげなあまりに気づいたように海里が言う。

「……つまみと酒を少しくらいならいいんじゃないか?」

「えっ。
 でも、せっかく、まかないも少ししか食べずに頑張ったのに」
と言って、どんだけ夕食楽しみにしてんだ、と言われてしまう。

「いや、だって、美味しかったですよね、あの宿のお食事」
と言うと、海里は、

「お前、先、乗ってろ」
と言って、売店に行ってしまった。
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