午前0時、魔法が解けるまで。
「わ……!い、いいよ!」
見るからに質の良さそうな生地のパーカーでためらいなく血を拭こうとするものだから、私は慌てて手を前に突き出して止めようとする。
それを逢坂くんは違うように解釈したのか、気まずそうに私に触れようとしていた手を下げて謝った。
「悪い、無神経だった。お前のダチ呼んだ方がいいか?」
「え、あ、別にそういう意味じゃなくて……パーカーが汚れちゃうから……」
「他に拭くものねえんだよ」
逢坂くんはそう言って床に座り込む私の膝の上にパーカーを落とした。