午前0時、魔法が解けるまで。
「再会してからも……私のことを傷つけないためにずっと言わないでいてくれたんですね」
昔の友達だったことを言えば、早く思い出させたらすぐに私と親密になることだって可能だったはずだ。
でもそれをしなかったのは、全てを思い出した時に私が傷つくかもしれないと考えたからなのだろう。
少しだけ腕の拘束が緩んで顔を上げれば、砂川さんはうさぎみたいに目尻を赤くして瞳いっぱいに涙の膜を張っていた。
彼が瞬きをすれば、長いまつ毛が涙を弾いて、落とす。