午前0時、魔法が解けるまで。
「……別に良かったのに」
無愛想に可愛くないセリフが口をついて出た。私はたった今、彼の厚意を無意識に踏みにじってしまったことに気付き口元を押さえた。
「ご、ごめんなさい……せっかく拾ってくれたのに」
「ううん。忘れ物を届けるっていうのはただの口実だから」
その言葉に私は思わず黙り込んだ。
やっぱりストーカーではないか。
そう言いそうになって、ごまかすように無理矢理笑って彼の手から忘れ物を受け取る。