嘘つきなキミ
ーはやとー
先にみゆきだけあいの病室に行かせた。
俺はこうへいの所に寄った。
はやと「おう。大丈夫か?」
こうへい「昨日は悪かったな。」
はやと「本当だよ。何があっても走んなかったお前が走るなんてなw」
こうへい「俺もびっくりしてる。」
はやと「なあ、あいお前の病気気づいてるぞ。」
こうへい「はあ?!」
はやと「俺は違うって言っといたけど、あいの母ちゃん心臓病で亡くなってるらしいぞ。」
こうへいは俯いて何も言わなかった。
はやと「あいつ、もしかしたら直接聞いてくるかもしれねよ。どうすんだよ。」
こうへい「...あいには、何があっても言わないつもり。だって、親が俺と同じ病気で死んでんだぞ。言えねえよ。」
はやと「でも、お前は運動とかしなきゃ大丈夫なんだろ?」
こうへい「...ごめん。お前だけには言っとくわ。...俺の心臓もうだめかもしんねえ...」
はやと「...は?お前どうゆう事だよ。大丈夫って言ってたじゃねえーか。」
俺は掴みかかる勢いでこうへいに言った。
こうへいは俯いたままわりぃと一言言った。
本当は、ふざけるなって言いたかった。
でも...唇を噛み締めて、今にも泣きそうな、悔しそうな顔を見たら何も言えなくなった。
1番辛いのはこうへいだ。
改めてそう感じさせられた。
こうへい「好きな女もろくに守れないやつがいくら好きで、好きでしょうがなくてもオッケーなんてできねえだろ。俺だってできる事ならあいつと付き合いてえよ...」
俺は何も言えなかった
こうへいの気持ち分かってるつもりで、何も分かってなかった。
こうへい「俺、先生に言われたんだ。次発作が起きたら命の保証は出来ないって...だから入院しろって。でもさ、俺断ったんだよ。ギリギリまで、あいと居たいから。」
はやと「...っ!!ふざけんな。それだけはなにがあっても絶対に許さねえ。」
こうへい「なあ、はやと。俺さあ初めてなんだよ。こんなに人を好きになるの。愛おしくて、愛おしくて俺にとってはあいが全てなんだよ。分かってくれるよな。こんな気持ちになったの初めてなんだよ。」
はやと「分かんねえよ...。」
こうへい「はやと...」
そんな優しい顔で言われたら...
そんな愛おしそうな顔で言われたら...
俺は認めるしかないんだよ...
はやと「でも、俺は...認めるしかねえんだろ。」
こうへい「さんきゅ。」
はやと「でもその代わり、今まで以上に過保護になるからなw」
おれは笑ってみせた。
こうへい「お前は親かw」
と笑って居た。
こうへい「なあ、夏休みみんなで旅行いかね?一泊2日でさあ!」
はやと「お前はばかなの?今言ったばっかだろ。」
こうへい「最期の想い出作りたいんだ。生きててよかったって思えるようなさ...。」
はやと「最期って...」
こうへい「多分夏休みくらいが、元気な姿でみんなと居られる最期だからさ...」
はやと「なんでそんな事言うんだよ」
こうへい「やっぱ、自分の身体だから何となくわかっちゃうんだよね...不思議だよね」
はやと「ふざけんな。お前はもっと生きるんだよ。」
こうへい「...そうだね...。」
こうへいは自分の事なのに、どうしてそんなに穏やかに居られるんだ?
俺には理解出来なかった。
はやと「俺、そろそろ行くわ。」
こうへい「おう。明日には退院する予定だから。そのまま学校もいくつもり。」
はやと「じゃあ明日朝いくよ。」
こうへい「おう!待ってるわ。じゃあな。」
はやと「おう!」
俺はこうへいの病室を出て、あいの病室に向かった。