二頭(二人の男)追うもの…バチが当たる
「ええ、知ってます。知ってますがやはり嫌です。貴女が輝一の物になったみたいで…嫌です」
いままでの槙さんからは予想も出来ない言葉が発せられた。
「槙さん?もしかしてヤキモチですか?」
「駄目ですか? この歳でヤキモチは気持ち悪いですか?」
「いいえ、気持ち悪いなんて思いません。寧ろ嬉しいです」
いつも大人の余裕を見せていた槙さんが…昨夜といい余裕の無さが垣間見れた事があたしは嬉しい。
「新しい槙さんの一面が見れて私は嬉しいです」
「良かった…そうだ!今から貴女の着替え買いにいきましょう」
「でも槙さんお忙しいのでは…」
「今日は仕事休みにしたので、今日一日貴女はわたしのものにします。午後からは用があるので、午前中しか時間とれませんが…」
お休みの日までお仕事…?それほど忙しいのに私のために時間を裂いてくれるのは申し訳ない。
「槙さん?折角のお休みなんですからゆっくりしてください買い物は一人でも大丈夫ですから…」
「嫌だ!」と槙さんが言ったところで輝一君が起きてきた。
「おい親父!俺のこまめちゃんから離れろ!」と言って私から槙さんを剥がし放した。
「輝一!こまめさんはお前のじゃない!今のところ二人のものだ!」
もの…?
「あの…私を物扱いされるのは…」
「では、決めて頂けますか?私達のどちらにするか!?」
「……それはちょっと…」
「こまめさんが決断出来ないなら仕方ないですね?私達も互いに諦めたくないですから?」
「じゃ、親父ルール作ろうぜ!?」
輝一君の提案であたしを共有する為に二人はルールを作り始めた。
「あの…冷めないうちに食事にしませんか?」
私の提案で食事を始めたものの二人は心此処に在らずの様で何やら考えているようだった。
食事が終わる頃には
「やっぱり…」
「いつも通り…」
「だな?」
合言葉のような会話をして二人の間で解決したようだ。
食事も終わり洗い物をしてると槙さんは再びあたしにまとわりついてきた。でも輝一君はそんな私達を見ても何も言ってこない。
「あの…槙さん?お二人の間でどんな話になったんですか?」
「あぁ、それはね?当番制と同じにしたんですよ」
「当番制って…?」
槙さんの話によると
二人の生活の中でルールがあり、ゴミ出しや、洗濯、庭の水やりなど、交代でしていると言う。その中にあたしを独り占め出来る権利をいれたと言う。
な、なんてことを…
「ちょっと待ってください!そこに私の意見は無いのですか?」
「いや、あなたが私達のどちらかを選んでくれればこんなことしなくて良いのですが?」
はぁ…これは私が招いたって事ですね…
「 月、水、金は私の日ですから今朝話した通り買い物にいきましょう!」