二頭(二人の男)追うもの…バチが当たる
シャワーを浴びキッチンへ戻ると私達は再び朝食の支度を始めた。
焼き塩鮭に、ほうれん草のお浸し、ごま豆腐、そしてしじみのお味噌汁。
「お浸しの味見お願いします」
あたしがほうれん草のお浸しの入ったボールと菜ばしを渡すと、槙さんは一度ほうれん草をあたしの掌に置きそれを自分の口へと運んだ。
まっ槙さん!
やっと落ち着いていた躰は再び熱を上げ、鼓動が高鳴る。
「美味しいですよ」
「よ…よかったです」
「…っ朝から見せつけないでくれる?」
振り返ればいつの間にか起きてきていた輝一君が居た。
「きっ輝一君…おはよう」
「おはようこまめちゃん昨夜は凄く良かったよ!」とあたしの耳元で囁いた。
あたしは顔を一気に赤らめ、耳まで熱くなった。
「こらっ輝一!今日は私のこまめさんだ!手を出さないでくれ!」
「はいはい!明日までの辛抱ですか?さっさと飯食って仕事行こう!」言ってほうれん草のお浸しを食べた。
「あっこれ旨っ」
良かった輝一君の口にもあって!
「輝一!今日の家事当番はお前だぞ!?」と輝一君を叱る槙さんにあたしは「槙さん!さっきも言いましたけど、ここにいる間は私が家事全般やりますからと、話した」
だが槙さんは
「私達は君を家政婦として居て貰ってるんじゃないよ?」と言う。
そう言って貰えるのは嬉しい。でも、あたしも彼らに何かしたいと言う気持ちがある。
「はい、わかってます。でも…」
「良いんじゃない?俺だって親父の作る飯よりこまめちゃんが作ってくれる方が嬉しいし!」
「輝一!」
「槙さんそうさせて下さい」
「分かりました。でも、居させて貰うなどと負い目は感じないで下さい。私達はあなたと暮らせて幸せなのですから」
「有り難うございます」