二頭(二人の男)追うもの…バチが当たる
「ごめん…本当に酷い女だよね…」
彼の気持ちに泣いちゃいけないのに…
「ホント…酷い女だよ!でも、そんな先輩が好きだった」
先輩…?
付き合い出して初めて呼ばれた『先輩』と言う言葉に顔を上げる。
輝一君が向けてくれる笑顔、でも瞳は寂しいそうで、彼の切なさが私の胸を痛くする。思わず彼へのばしかけた手を握り苦笑する。
もう触れてはいけない。
「…先…輩…は、やめてくれるかな?」
あたしも、彼の精一杯の気持ちに答えなくちゃいけない。
「今度からはママって呼んでくれる?」
でも、頑張って笑って見るけど、笑えてない。
「ゲッ…ママなんて呼べるかよ!?」
「良いじゃん!ほらっ呼んでみ?」
「馬鹿言ってないで急がないと、間に合わないぞ!?」と、輝一君は苦笑する。
あたしを笑顔で送り出そうとする、今の輝一君の精一杯の笑顔。その輝一君の笑顔に応えるように、頑張って満面の笑顔を見せる。
「うん!ありがとう」
輝一君好きだったよ
あんたなら
きっと良い女見つけられる
今度会う時は立場は違うけど
きっと笑って会えるよね…
輝一君ありがとう。
玄関を出ると急いで空港へ向かった。通りでタクシーを拾い運転手へ急いで欲しいと告げる。信号で泊まる度「間に合って!」と祈り、槇さんが私を求めてくれる様に願う。
タクシーを降り槙さんへ電話しながら登場口へと急ぎ向かう。
間に合って!槙さん電話出て!
『もしもし…?』
あっ
「っもしもし!槙さん待ってて!」
『え?』
居た!
搭乗口に居る槙さんを見つけた。
「槙さん!待って!!」
『こまめさん?』
足が縺れ転ぶあたしのもとへ槙さんが駆け寄り、抱き起こしてくれた。
「こまめさん、大丈夫ですか?どうして此処へ?」