二頭(二人の男)追うもの…バチが当たる

「ごめん…本当に酷い女だよね…」

彼の気持ちに泣いちゃいけないのに…

「ホント…酷い女だよ!でも、そんな先輩が好きだった」

先輩…?

付き合い出して初めて呼ばれた『先輩』と言う言葉に顔を上げる。

輝一君が向けてくれる笑顔、でも瞳は寂しいそうで、彼の切なさが私の胸を痛くする。思わず彼へのばしかけた手を握り苦笑する。

もう触れてはいけない。

「…先…輩…は、やめてくれるかな?」

あたしも、彼の精一杯の気持ちに答えなくちゃいけない。

「今度からはママって呼んでくれる?」

でも、頑張って笑って見るけど、笑えてない。

「ゲッ…ママなんて呼べるかよ!?」

「良いじゃん!ほらっ呼んでみ?」

「馬鹿言ってないで急がないと、間に合わないぞ!?」と、輝一君は苦笑する。

あたしを笑顔で送り出そうとする、今の輝一君の精一杯の笑顔。その輝一君の笑顔に応えるように、頑張って満面の笑顔を見せる。

「うん!ありがとう」

輝一君好きだったよ
あんたなら
きっと良い女見つけられる

今度会う時は立場は違うけど
きっと笑って会えるよね… 
輝一君ありがとう。

玄関を出ると急いで空港へ向かった。通りでタクシーを拾い運転手へ急いで欲しいと告げる。信号で泊まる度「間に合って!」と祈り、槇さんが私を求めてくれる様に願う。

タクシーを降り槙さんへ電話しながら登場口へと急ぎ向かう。
間に合って!槙さん電話出て!
『もしもし…?』

あっ

「っもしもし!槙さん待ってて!」

『え?』

居た!

搭乗口に居る槙さんを見つけた。

「槙さん!待って!!」

『こまめさん?』

足が縺れ転ぶあたしのもとへ槙さんが駆け寄り、抱き起こしてくれた。

「こまめさん、大丈夫ですか?どうして此処へ?」




< 45 / 48 >

この作品をシェア

pagetop