肉食御曹司に迫られて
3人は、落ち着いた雰囲気のカフェに入り、奥の席に座った。
「湊と一緒だった?」
晃は、奈々に優しく聞いた。何が起きたのか全く分からないが、きっと何かがあって、湊はこの場にいないのだろう。
「はい、一緒だったんですが…仕事が入ったとかで、行ってしまって。それぐらいで、悲しくなるなんて、おかしいですね。仕方ない事なのに。全然大丈夫です。」
奈々は努めて明るく言った。
(ー 湊が話していないことを自分から話すことはできない。でも…)
晃はかける言葉に迷いながらも、
「ねえ、奈々ちゃん。俺は中学から湊を見てるけど、奈々ちゃんと会ってからの湊は、本当に楽しそうだよ。あんな、湊知らなかった。」
奈々は、少し笑い、
「本当ですか?それなら…よかった。」
と答えた。
奈々の切なそうな顔を見て、晃も何も言えなかった。
(- 湊、がんばれよ…。)

すると、奈々は無理はしているのだろうが、凛とした顔で
「晃さんの事、湊からよく聞いてたので、お会いできて本当によかったです。」
まっすぐ、晃の目を見て言った。
そして、続けた。
「たぶん、晃さんは、湊の抱えている問題もご存じで、私に何も言えない事も解っています。そして、私もどうにもならない事が在ることも、解っています。でも・・・。」
奈々はここで一度言葉を止めた。
「湊が、私の事をどう思っていたとしても、何を決めても、私は湊と会ったことは、無かった事にはできないし、会えてよかったと思っています。だから、私は大丈夫です。」
奈々は静かにそして、意思の強い瞳を晃に向けると、微笑んだ。

(- 湊、この子は強いよ。本当に。)
「俺も奈々ちゃんに会えてよかったよ。」
と晃は天使の笑みをした。
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