肉食御曹司に迫られて
社長でも何でもない自分に向けられた笑顔に、今まで感じたことのない鼓動を湊は感じた。

「湊っていつもそうなの?そんな風に女の子ナンパするの?」
いたずらな瞳を向け、奈々は聞いた。
「さあ、どうかな。声かけたのは奈々ちゃんが初めてだよ。」
これは、ホント。向こうから寄ってくる。とは言わなかった。

「ふーん。」
奈々は疑う目をしたが
「気分がいいから、そういうことにしておく。」
と笑った。
「奈々ちゃんこそ、ナンパされまくりでしょ?」
そういうと、
「まあ、されなくもないけど。でも、さっきの湊のお誘いがナンパなら、初めてナンパについてきちゃった。」
奈々は、腕を上げて背伸びをしながら立ち上がると、湊をちらっと振り返った。
その月明りの中の奈々は、あまりにも綺麗でそしてかわいらしくて、湊はドキリとした。
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