ドメスティック・ラブ

「もう待ちません。一体いつまで焦らすつもりだよ」

 暴れる私に一瞬動きを止めたまっちゃんは、それでも躊躇せずにTシャツを一気に私の身体から引き抜いた。

「ひゃああああああ」

「色気のない悲鳴だなー」

「……そう思うなら待ってくれたって……」

「そういう所も可愛いと思ってるから」

 やめて死ぬ。誰これ。何これ。意味が分からない。なんでこの人そんなに冷静なの。
 てかいつも呆れつつもしょうがないなあっていつも私のわがままを受け入れてくれてたまっちゃんどこ行った!

 さっきと同じ様に肩から背中へ手が動く。
 でもさっきと違うのは、遮る衣服がない分ダイレクトにその体温を感じる事。ただもう身体中熱くてまっちゃんの手が熱いんだか私の身体が熱いんだか分からない。小刻みに刻んでいるのが身体の震えなのか早鐘の様に打ち続けている心臓の鼓動のせいかも分からない。

「千晶」

 私を引き寄せたまままっちゃんが名前を呼ぶ。肩の向こうにあるその表情は私からは見えない。

「お前照れ臭いのが自分だけだなんて思うなよ」

「え?」

「俺だって今更こういう事するのめっちゃ恥ずかしいんだからな。千晶がガチガチだとこっちまで緊張する」

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