ドメスティック・ラブ

「わーさとみん先輩めっちゃ綺麗ー!」

 渡したデジカメのプレビューをスクロールしながら着飾ったよねみーと依ちゃんが歓声をあげている。
 植え込みを囲むレンガの端に腰掛けていると、火照った顔を夜風が撫でる感覚が心地良い。肌寒くなってきた季節だけれど、ジャケットを着なくてもお酒のせいか寒さは感じなかった。

「さとみん先輩スタイルいいしトレーン長いの映えるなあ、素敵……」

 彼女達が見ているのは、私がさとみんの結婚式と披露宴で撮影した写真だ。会場にはプロのカメラマンも入っていたけれど、多分負けないくらいの枚数を私も撮った。
 さとみんが挙式と披露宴で着用した繊細な総レース生地のエンパイアラインのウエディングドレスとマリアヴェールは妊娠して尚スレンダーな彼女にとてもよく似合っていた。
 クラシカルなホテルで行われたさとみん達の挙式と披露宴は荘厳で落ち着いた雰囲気で、神父の虹色の禿頭で笑いを堪えていた私の挙式とはえらい違いだった。

 挙式に参列したのは私達夫婦やよっしー等同級生のみで、先輩や後輩達はレストランを貸し切って行われた二次会からの参加になっている。
 式や披露宴に比べてずっと砕けた雰囲気の二次会が先程終わり会場を出たけれど、何だかんだ殆どが帰ろうとはしない。多分誰かが三次会を提案するのを皆それぞれに待ちながら立ち話をしている。
 子供を親に預けて来たという既婚の子が、今日はがっつり飲みたいと張り切っていた。友人達と集まると年甲斐もなくはしゃいでしまうのは何も私に限った事ではないらしい。

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