ドメスティック・ラブ

「てかしまちゃん先輩のはないんですか?先輩達の時、挙式は親族だけだって言ってたし披露宴も二次会もなかったから私達花嫁姿見てないんですよ!」

「そうそう、そういうの見てない上にまっちゃん先輩もしまっち先輩も前と全然変わらないから二人が結婚してるって実感わかないです。ドレス姿見たーい。まっちゃん先輩のタキシードも見たーい。写真はあるんですよね?」

 もちろん張り切っていた親達の手配で洋装と和装両方前撮りさせられたし、当日もチャペルや会食に使った会場でカメラマンに何枚も撮影してもらった。それが仕上がって来たのは大分時間が経ってからだったので、挙式と会食の後で皆に開いてもらったパーティーには間に合わなかった。
 そもそもどうにも気恥ずかしくて直視出来ず、挙式の写真なんてどうしてもと言われたさとみんにチラッと見せたくらいだ。妹もデジカメでバシャバシャ撮っていたけれど私は見ていないので、多分あれは両親がようやく嫁に行った娘への感慨に耽るために使われているんだと思う。

「いやー、私スタイル悪いしさとみんみたいに綺麗じゃないから」

「何言ってんですか、しまちゃん先輩ならさとみん先輩と別ベクトルで絶対可愛いですって」

「お家に写真あるなら今度見に行きたいなあ。ダメですか?」

「いやー、散らかってるし私そんなおもてなしできないし……」

「先輩が家事苦手なのなんて知ってますし、今更気にしないですよー」

 へらっと笑ってかわそうとしたのに、お酒が入っているせいかいつもより後輩達の押しが強い。まあ確かに仲間内での結婚だけに、行きたいと言い易いのは分かる。
 そう言えば前によっしーが言ってたさとみん渡米後のライブ中継飲みも、うちで人を集めて飲む時なら可能かもしれないなあなんて思い出す。とは言え、もちろん我が家は普通のマンションなので呼べる人数には限りがあるけれど。

< 154 / 160 >

この作品をシェア

pagetop