ドメスティック・ラブ

「だからまあいいよ、千晶のそういう顔見れるのは夫の特権って事で」

 うん、そういう事にしといて下さい。
 相手がちゃんと自分を分かってくれているというのは物凄く居心地がよくて物凄く幸せだ。

 酔いが覚めて自分で身体を支えられるようになったのが伝わったのか、肩にあった手が少し上がって頬と耳の間をそっと撫でる。それが気持ち良い。
 人前どころかそもそもここ外だけど。ま、いいか。夜だし。皆もう三次会行っちゃったから、誰も見てないし。

 お酒の高揚感とかスピーチが成功した解放感とか、もちろんさとみんの結婚式で浮かれてたとかそんな複合的な要因で多分気が緩んでたんだと思う。

 うっかり道端で交わしてしまったキスを、全てを片付けて遅れて二次会会場から出て来たよっしーにしっかりと目撃され、さらに三次会の会場でそれを皆に暴露され、恥ずかしさのあまりお酒に逃げた私は途中からの記憶が全くない。気がつけば朝、例の如く自宅のベッドの中だった。

 泥酔して一度覚ましてまた泥酔するなんていう変な飲み方をしたせいか、頭は痛いしシャワーすら浴びれなかった身体はベタベタしているしそこはかとなくお酒の匂いも残っている気がする。
 気持ち悪い。しんどい。
 だけど。

「おはよう、奥さん」

「……おはよう」

 それでも、この腕の中はやっぱり世界で一番心地良い。



fin.


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