ドメスティック・ラブ
ランチの後は、さとみんがチケットを当てた映画の試写会を見に行った。少女漫画が原作のベタな恋愛もの。確かにこれはカップルで見に行くのは微妙に気恥ずかしくて抵抗あるから、さとみんが彼氏じゃなく私を誘ったのも頷ける。
試写会が終わったら雨が降り始めていたので、雨宿りがてら近くのデパートの中でウロウロとウインドウショッピングをしている途中、自分の携帯をチェックしたさとみんがしばらく考え込む様な顔をした後、申し訳なさそうにこっちを見た。
「ごめん、しま……彼が熱出して寝込んでるらしいんだけど、行ってもいい?」
どうやら例の彼氏からのSOSが入っていたらしい。
「いいよ、行って来い行って来い!献身的に看病して惚れ直させて、彼の結婚感覆しておいでー」
彼氏は一人暮らしのはずだから、さとみんに看病してもらえば世話をしてくれる人がいるありがたさを感じて、二度目の結婚はしないという主義も揺らぐかもしれない。
「何買って行ったらいいかなあ……。スポドリとゼリー?」
「アルミ鍋入りのうどんとかレトルトのおかゆとか桃缶とか?とりあえず何でもいいから早く行きなって」
「ホントごめん!ありがとう!」
デパートの入口まで戻って、駅方面に小走りで駆けて行くさとみんを手を振りながら見送る。
結婚できないなら別れようかな、と大分前から何度も口にしている癖に結局彼を思い切れず、体調が悪いと連絡を受けただけで電話を見つめて心配そうな顔をするさとみんには恋してる感が溢れてた。今まっちゃんが同じ状況になったらもちろん私も心配はするけれど、さとみんの様な恋する乙女感とは違う気がする。男女間で友情は成立しないなんて言う人もいるのに、友情のつもりで築いて来た関係を恋愛方面に方向転換するのは難しい。