失礼男の攻略法

「え、仕事って?」

動揺しながら質問を重ねる中西さんに

「こいつ、ここの30Fの事務所で渉外弁護士やってるよ」

そう言い放ち、ニヤリと笑っている。その言葉を聞いて、この男の思惑通り中西さんの顔が曇っていく。

あぁ、またダメだ。

その顔を見て、今日のデートが失敗に終わることが確実になり、もううなだれるしかなかった。

しばらく放心していた中西さんは

「あ、弁護士さんだったんですね。てっきり・・・。
 僕みたいな人間がお声がけしちゃって、すみません」

早口で言ったかと思うと胸ポケットの財布からお札を数枚取り出して去って行ってしまった。

その後ろ姿を見送った後、カウンターに顔を突っ伏していると隣に誰かが座った気配がする。誰かなんて、わかってるけど反応なんてしてあげない。

すると頭にポンポンと手を置かれる。

「また、いつも以上にしょうもない男だねー」

そんな毒舌とともに。

「バーテンダーさんがここに座っていいんですか?」

苛立ちまぎれに嫌味を言ってやると

「趣味で作りたい時に入ってるだけだから、いいの」

今度はわしゃわしゃと髪をかき回された。


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