失礼男の攻略法

そして次の日。

念のため借りたハンカチを洗濯してアイロンがけしたものを鞄に忍ばせて、いつものカフェに寄ると、お目当ての人がいたのだ。ドキドキ高鳴る胸を押さえながら、お気に入りのフレーバーコーヒーを手に、昨日のたれ目さんが座る席に向かった。

「あの、昨日は」

そう声をかけたところで顔をあげたたれ目さんは、やっぱり柔らかな表情で

「あ、どうも」

優しく笑いかけてくれた。自分の顔が赤くなってるんじゃないかってことが気になりながら、急いで鞄からハンカチを取り出して

「ありがとうございました」

たれ目さんに差し出すと

「服、大丈夫でしたか?」

優しい言葉をかけて下さる。見た目通りにいい人そうだ。

「はい。むしろハンカチお借りしてしまって、昨日不便じゃありませんでした?すみません」

頭を下げると

「いえいえ。ずっと気になっていたんでラッキーでした」

よくわからない言葉を掛けられる。
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