失礼男の攻略法

「年寄りは、もう寝る時間だ」

とか言いながらニヤニヤしながら帰って行く所長を見て、その思惑にはのらないぞ、と思ったのに。

そして直樹さんが連れてきてくれたのは、ビルを出て少し歩いたところにある、ひっそりとしたジャズバーだった。

B.C. square のレストランで食事して、その後は上のバーかラウンジ、そんなありきたりなチョイスじゃなくって、このお店を選ぶところがさすがのセンスだなって思う。

それと同時に、遊び慣れていらっしゃるんだろうな、とも。落ち着いた雰囲気に、耳障りのいいジャズが流れるその空間は心地よくて、直樹さんの存在そのもののようだった。

「学生の頃、叔父の事務所でバイトしてまして、その頃よく通ってたんです」

「バイトされてたんですか?」

司法試験の勉強一色だった自分の学生時代を思いながらびっくりしていると

「勉強の合間の息抜き程度ですが」

なんて言っている。ストレートで司法試験に合格しているって言ってたから、やっぱり優秀なんだろうなって考えてると

「西田さん、何飲まれますか?」

と尋ねられた。
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