片翼の運命
お母さんの声。びく、と背中が震える。
「こんばんは」
慧斗がにこやかに挨拶をする。さっきまで船川がどうこう言っていた人間……吸血鬼とは思えない。
「こんばんは、一緒に帰ってきたの?」
わたしは口を開けるけれど、声を出す前に慧斗が答えた。
「はい。暗いと危ないんで」
お母さんが「そうなの? ありがとうねえ」と呑気に言っている。わたしは知っている。一緒に帰れない日も、後ろから慧斗の蝙蝠たちがついてきていることを。
……そう考えると間違ってはないかも。
「じゃあ失礼します」
とても好青年の顔をして、慧斗はお母さんからは見えない方のわたしの手を少し握る。