寄生虫
そうしているとお母さんが買い物から戻ってきて、バラと2人で夕飯の準備を始めた。


いつもならこの時間、あたしは自分の部屋で宿題をしていたり、ぼんやりテレビを見ていたりするのだけれど、今日は部屋に入る事ができない。


それがきっかけであたしも夕飯の準備を手伝う事になった。


女3人で並んで料理をするのが楽しいみたいで、お母さんは終始ご機嫌な様子だった。


あたしは料理なんて興味がないし、特別おもしろいとも感じられなかった。


でも、こうして3人でどうでもいいような話をしながら台所に立つことは嫌いじゃないと感じた。


3人でカレーとサラダを作りあげた時、丁度お父さんが仕事から戻って来た。


そしてキッチンで3人仲良く夕飯の準備をしている姿を見て目を丸くしていた。


あたしは少しはにかんで、お父さんを見た。


腕のかゆみがなければこんな事しなかったと思う。
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