寄生虫
☆☆☆

「サナギ、いつまで起きてるの?」


お母さんにそう言われたのは11時半を過ぎた頃だった。


あたしはまだリビングにいて、ぼんやりとテレビを見ていた。


でもテレビの内容なんて全然頭には入ってこない。


今日もまたかゆくなったらどうしようか。


そんな思いが脳内の大半を占めていた。


「部屋に……行きたくなくて」


「どうして?」


「また腕がかゆくなるんじゃないかなって、思って」


そう言うと、お母さんは眉を下げてあたしを見た。


困ったような、悲しいような顔をしている。


「それなら今日はソファで寝なさい。お客さん用の掛け布団を持ってくるから」


そう言いながらお母さんはすぐに一階の奥にある客間へと姿を消した。
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