干物ハニーと冷酷ダーリン
この会社、経費削減とかで給湯室ってやつがないんだよね。
どこをケチってるんだか。
こんなに頑張ってるんだから、それくらい設置してくれてもいいと思う。
「……あれ?水城さん。まだ残ってたんですか?」
てっきり誰もいないだろうと思ってたけど、編集部には、ちらほらまだ人が残っていた。
ああ、黒崎さんまでいた。
デスクに突っ伏してぴくりとも動かないけど。
『ああ…終わったのか?』
「まさか!ちょっと休憩です」
自分のデスクに無造作に置いてある鞄から、財布を取りだす。
「水城さんもコーヒー買って来ましょうか?」
『…頼む』
「了解です」
もはや廃人と化している同僚の皆様。
その光景は壮絶なものだけど、今ではすっかり見慣れてしまった。
うわっ!
こんな所にも転がってた!
自分のデスクにすら辿り着けず、無惨にも入り口付近て力尽きて床で寝ている。