干物ハニーと冷酷ダーリン
朝の光を浴びながら、愚か者はベンチに座っていた。
それはもう同性からみても、目も当てられない程の底辺の女がいた。
その名は、川本かなでである。
『夏と言えど、やっぱり朝は冷えるな』
「………ですね」
それはもうあたしの体感温度は、零度を下回ってます。
『そろそろ、戻るか』
「はい。今日はもう帰るだけですよね?黒崎さんの思い付きの旅行でしたが、楽しかったですね」
『………あっそ』
「対して何も起きなくて良かったです。ああ、でも家に帰るまでが旅行なので、このまま何事もなく無事に帰宅しましょう」
愚か者は、己の愚かさに嫌気がさしてそっくりそのまま全てなかった事にしました。
隣では、水城さんがブリザード級の目付きであたしを見ていた事も無かった事にしました。
部屋に戻ると高橋さんが既に起きていて、鏡の前で身支度をしていた。
すべてにリセットをかけたあたしは、昨日の事を聞かれても、無難な受け答えをして朝食会場に向かった。
黒崎さんは、水城さんの言っていた通り、記憶がなくなっていたようだったので、そのままにしておいた。
それでも、小声で謝罪はしておいた。
帰りのバスの中では、ほとんどの人が二日酔いでグロッキー状態だった為、お昼御飯はスルーして、予定より早く出版社に戻ってこれた。
リフレッシュ休暇を使った旅行は無事に日程を終了し、ここで解散となった。