干物ハニーと冷酷ダーリン


あたしは控え室をでて数取器を手に持ち書店の外に並んでいる人の数をカウントしていく。


まだ午前なのでそこまで暑いわけではないが、この様子だと午後は厳しくなりそうだ。


カチカチカチカチ、、、、、。
カチカチカチカチ、、、、、。


やっぱり、サイン会とあって今の段階でもなかなかの集客率だと思う。



『川本さん、白田先生到着されたみたいですよ』


ひたすらテント内でカチカチしていると、ここの書店の副店長さんが声をかけてきた。


「わかりました。有り難うございます」


『それにしても、凄いですね』


副店長の相崎さんは、あたしの手元にある数取器を見て目を見開いていた。


「まだまだ、これからですよ」


『ですよね。部数を確認した時は驚きましたけど、白田先生は本当に人気漫画作家さんなんですね』


「当たり前です。じゃなきゃ企画しませんよ。レジ打ちすぎて、腱鞘炎にならないでくださいよ?相崎さん」


『ははっ。ですね。頑張ります』



そうこうしている間に、開店5分前になり各々所定の位置に移動する。



「川本さん、今日は宜しくお願いします」


黒崎さんに案内されて、テントに入ってきた白田先生は、椅子に座り近くに控えていたあたしににっこり。


可愛い。
ほんわかしている白田先生は、デビューして2年の23歳。

誰でも体験するような甘酸っぱい学園青春ラブストーリや、女性が憧れる展開のオフィスラブストーリを描いており、共感できる!と話題になっている漫画作家である。



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