干物ハニーと冷酷ダーリン
「白田先生、こちらこそ宜しくお願いします。何かあればすぐに声かけてくださいね」
「はい。頑張ります」
開店時間になり、外で並んでいたお客様が店内に雪崩れ込んでいく。
白田先生の仕事は、書店で購入した作品にサインを書く事。
そしてあたしは、並んでくるお客様に表紙を開いて渡すように呼び掛ける事と白田先生のフォロー。
黒崎さんは、、、、、あの人、何するんだったっけ?まぁ多分何かしらをするんだと思う。
営業の大平さんと久保田さんは、売り場の状況確認。
一応、スケジュールでは午前と午後の三時間をサイン会としてフェア宣伝をしていたので、その時間帯がピークだ。
「白田雪乃先生のサイン会は、こちらです。表紙を開いてお並び下さい」
店内から出てくる購入者を誘導する。
今回、サイン会と平行しての販売なのでフィルムカバーや、購入時の袋詰めはしていない。
なので、他の来店客と見間違う心配はない。
ちらっと、白田先生を見ると緊張しながらも笑顔で対応していた。
外から見る限り、書店内は大混雑している。
ああ、大平さん。眉間にシワが、、、。
久保田さんなんて、端に追いやられている。
とても大変そうだ。
って、あれ、黒崎さん?
そんな中でも黒崎さんは、何故か高校生くらいだろうか、女の子に囲まれてあの胡散臭い笑顔を披露していた。
なにあれ、ちゃんと仕事してんの?
黒崎さん。水城さんにチクッてやる。