干物ハニーと冷酷ダーリン
時間もお昼に近付いてきた頃。
ひと、ヒト、人。
暑い、暑い、暑い。
そして、女性客に多い香水の香り。
あたしは、ゲロものスパイラルに陥っていた。
ああ、これぞ野外の恐ろしさ。
あんなにも大変に思っていた店内組が憎く思えてくる。
くそ、涼しい所に居やがって、ちくしょう。
少しは、気を遣って交代を申し出てもいいんじゃないだろうか。
特に黒崎さん。どうせ暇でしょあの人。
気温が上がりだしてきてから、1度だけ黒崎さんが先生の後ろに扇風機を設置しているのを見たきり姿を見ない。
すると、ポケットに入っているスマホがブルブルと震えだした。
まさかの、姿を眩ました黒崎さんからの着信。
「………はい」
『おー、川本生きてる?』
「……はぁ、、、まぁ」
『店長達が呼び掛けしてるから今そこにいる人たちで一旦閉めてー』
「えっ?黒崎さんの首絞めるんですか?」
『うへっ?…何?川本機嫌悪いの?怒ってんの?何でさ!?』
「了解です」
電話口から、えっ?シカトなの?と聞こえた気がしたけど、強制終了した。
わかった事は、誰よりも黒崎さんは元気そうだったという事だ。