干物ハニーと冷酷ダーリン

あたしも黒崎さんの心配してる場合じゃないけど。
あれ?待って、待って。

今月の増刊、短編で久留米先生も入ってなかった?
えっ、嘘。あれ?再来月だったっけ?



『お、おい。大丈夫か?何か顔が真っ青だけど?』


「ちょ、ちょっと大平さん!ここお願いしてもいいですか!?でで、電話させて下さい!」





大平さんの返事を待たずに、一目散に書店を飛び出し水城さんに電話をかける。


フェアの事に頭が持っていかれてた。

でも、仮に今月の増刊号に掲載されるにしても今ならまだ間に合うはずだ。




『…はい。ダンテ出版編集部、水城です』


「水城さん!!川本です!」


『川本?どうした?』


「あの、今月の増刊号の短編は久留米先生でしたっけ!?」


『……は?それは、再来月だろ』


「…再来月?」


『再来月だ』




何言ってんだ?と、溜め息まじりに言う水城さんに心底ほっとした。

今月じゃなかった。よかった。再来月だった。


水城さんに、頭の心配をされたあたしは、そこに至った経緯を話したら凄い勢いで電話を切られた。


あっ、、、、。もしかして黒崎さん、まだ水城さんに報告してなかったのかもしれない。


今頃、黒崎さんのスマホに水城さんから連絡が入ってるかも。


それも、まぁ、黒崎さんの自業自得と言うことで、水城さんにしこたま怒られてもらいましょう。


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