干物ハニーと冷酷ダーリン
見えない重圧から解放されたあたしは、ついでにと久留米先生に進行状況の確認の連絡を入れた。
「もしもし、いつもお世話になってます。川本です。その後作業の方は進んでますか?」
先日、プロットとネームをあげてもらい、今ならペン入れに入っててもおかしくはない。
それでも、今月も締め切りギリギリであることには変わらないのだけど。
『………………』
あれ?電話繋がってるよね。
スマホの画面を見ると、しっかり通話中の文字が現れている。
「あの、久留米先生。聞こえてますよね?」
『……………』
「久留米先生?もしもーし!」
ガチャッ。、、、、切られた。
まさかと思いもう一度かけ直してみたら、コール音さえしなかった。
あんのクソガキ、電話線抜きやがったな。
スマホに掛けても電源が入っていない。
やりやがった。
また何かやらかしやがった。
この対応の仕方は、久留米先生の常套手段だ。
今、フェアじゃなければ乗り込んでくのに。
ちくしょう。
水城さんに、フェアが終了したら久留米先生の所に寄ってから出版社に戻るとメールを入れておいた。
今日も今日とて長い1日になりそうだ。