干物ハニーと冷酷ダーリン
『編集者って、大変なんですね』
書店の隅に居たあたしは、突然の事にビクッと肩が跳ねた。
「あっ、相崎さん、、、」
『すみません。驚かせてしまいましたね』
「いえ、そんな……。何かトラブルでもありました?」
わざわざ副店長がこんな所にくるなんて、何かあったのだろうか。
白田先生の体調が悪くなったとか?
『これ、白田先生の在庫です』
「あっ、すみません。有り難うございます。あの……大平さん居ませんでした?」
在庫の確認をお願いしたのはあたしだけど、売れ行き具合でどうするか決めるのは、どっちかと言いと営業の方が詳しい。
『ああ、大平さんにも渡してあります。ただ、少し川本さんと話したくて』
にこにこ、爽やかな笑顔を浮かべながら相崎さんはさらっと言ってのける。
「………はっ?」
今のは幻聴だろうか。にしてもはっきり聞こえた気もしなくもなくもない。
えっ、なに?
相崎さんって見た目と違って以外とチャラ男なの?
虫も殺さないような顔してるけど、軽い系?
なに、そのギャップ。全然萌えないけど。