干物ハニーと冷酷ダーリン
気付けば、編集部に残っているのはいつも通り、水城さんと黒崎さんとあたし。
そして、これまた窓の外には綺麗な三日月が光輝いている。
これだけは言っておきたい。
なにも、あたし達の仕事スキルが遅いわけではない。
ただ単純に仕事の量が多いだけだ。
決して怠けているわけではない。
高橋さんがしていたアンケートハガキの集計を引き継いで、PCの画面をにらみ続けて数時間。
焦点が合わなくなってきた。目がシバシバする。
それでも、一番緊急性を要するにのはあたしのお腹だ。
先程から、腹の虫が滞りなく鳴いている。
心なしか、悲鳴にすら聞こえる。
「黒崎さん、あたしお腹空きました」
『んー?あー、食べてくれば?』
「黒崎さんは?」
『いや、俺はいい。ってか、動く気力が最早ない』
「…えっ、、、一緒にコンビニ行きましょうよ」
『いやいや、無理無理』
「じゃあ、あたしどうすればいいんですか?」
『だから、買ってくればいいじゃん』
「…………1人でですか?」
『うん。』
「1人でですか!?」
『だから、そう言ってるじゃん。』
「…………………お金下さい」
『、、、、は?』
「間違えました。お金貸して下さい」
ズイッと両手を黒崎さんへと差し出す。
それを黙って見下ろす黒崎さん。