干物ハニーと冷酷ダーリン
出版社の正面玄関を抜けて、ふと視界に花壇をとらえる。
あーあー、これこれ、そこそこ。
あの日の相崎さんの残像が脳裏に浮かぶ。
鎮めたはずの気持ちが沸々と沸き上がり、思わずその花壇を蹴ったくってしまった。
当然、花壇はコンクリート製。ダメージを追ったのはあたしの右足で、、、
「っ!いたっ!」
尚更、苛ついた。
『、、、、なにしてる?』
「ここ、ここですよ!あのチャラ男が待ち構えていた場所。思い出したら思わず、、、」
冷めた目を向ける水城さんに、うずくまり足首を擦りながら伝えると、軽く流したような返事が返ってくるだけだった。
それに加え、水城さんはあたしの足首の心配ではなく、花壇の心配をしたあげく、1人でまたスタスタと歩き出した。
まぁ、そんな事で腹を立てる事もない。
そんなもの、分かりきっていた事ですから!
心配とかそんなの全然全く求めてないですから!
出版社から1番近いコンビニ。歩いて数分の距離。
やる気のなさそうな店員のマニュアル通りのかけ声を聞き、カゴを持ち店内をウロウロ。
お弁当コーナーの前でいちゃつく若者カップルを気にも止めず、目的の物をカゴに入れていく。