干物ハニーと冷酷ダーリン



黒崎さんには、ガッツリなカツ丼でもと思った所で時間帯を考え、変更してざるそばにしてあげた。

胃がもたれてしまっては大変だ。
お金を借りた手前、日頃のストレスを黒崎さんへの嫌がらせで発散させるわけにはいかない。


これが最善のチョイスだと思う。
そして、しじみのお味噌汁も選んだ。



自分の分のコッペパンと、お茶を2本。


ああ、水城さんのも、、、、って!
水城さん、どこ行った!?



キョロキョロ、店内をみて回ると雑誌コーナーで立ち読みしている水城さんを発見。


何を読んでるのかと思えば、【女性がされて嬉しい10のコト】と見出しの書かれたページを凝視していた。


職業病である。

何も知らない人が見れば、この人、、、必死なんだなぁって思われるに違いない。



「水城さん、何食べます?飲み物は?」



『、、、俺はいい。今日はもう帰る』



顔を上げた水城さんは、雑誌を元の場所に戻し、あたしの持っていたカゴを手にするとレジに向かった。



「えっ、水城さん帰るんですか?」



さっさと煙草と一緒に会計を済ませようとする水城さんに、慌てて黒崎さんから借りた5000円を出したが、突き返された。



レジ袋を持ち、コンビニから出ていく水城さん。



「ちょっ!水城さん、お金!」




コンビニに設置されている、灰皿の横に立ち煙草を吸う水城さんに5000円を付きだす。


それにレジ袋も水城さんに持たせたままだ。



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