干物ハニーと冷酷ダーリン
『ふーん。お前も本当に変なもんに捕まったな』
「いいえ、捕まってないですけど?」
『、、、あれ、見てみろよ』
小さく顎で指し、真っ直ぐ前を見続ける水城さんの視線の先にあるのは、、、、
「はっ?相崎さん、、、」
まさかの展開に、思わず水城さんの腕を掴んでしまった。
それに、視線の先にいる相崎さんの表情がこれまで見てきた相崎さんとは少し違って見えた。
コツコツと真っ直ぐこちらに向かってくる相崎さん。
その視線は何故かあたしではなく水城さんに向けられているようにも見える。
あたしの手にも力が入る。
『いてぇよ』
「へっ?はっ!す、すみません」
頭がパニックになりかけてて、水城さんの腕を掴んでる事を忘れていた。
しかし、今のあたしはこの腕を放すわけにもいかない。
放さねぇのかよ。と隣で呟いているのはもちろん聞こえてた。けど、すみません。放せません。
代わりに、少しだけ力の加減をしておいた。
『今晩は。川本さんと、、、、水城さん?でしたっけ?』
遠目では睨んでいるように見えた相崎さんの表情が、今ではいつものニコニコの好青年に戻っている。
あれは、見ま違いだったんだろうか?