干物ハニーと冷酷ダーリン


あれこれと考えを巡らせ、2杯目のコーヒーを入れた時リビングの扉が音を立て妙にすっきりとした顔の川本が入ってきた。



「水城さん、すみません。お風呂ありがとうございました。あと着替えも」


『いや、それはいいけど、、、大丈夫か?』


色々と。



「あっ、はい。パンツだけはドライヤーで乾かしました!他は流石にすぐに乾かないので、、、持って帰ります」



『ああ、そう。………いや、待て。お前何処に帰る気だ』



この際、下着の話はどうでも良くて対処するべきものは生活する家の事だ。



「えっ、、、適当にネットカフェとかに。最悪出版社にでも。でもまだ靴が乾いてないのでちょっとその間、ここで寝かせてもらえると助かります」



この女、、、家が浸水したにも関わらず悠長に寝るつもりか?どんだけ神経図太いんだよ。



『お前、寝てる場合じゃないだろ、、、』



「いやーもう、寝るしかないですよ!あたしが起きてたって状況は変わらないし、何も出来ないんですもん。それより今は眠いんですよ、、、そっちの方が深刻です、、」



それならと、服と下着は乾燥機にかけておけと言えば使い方が分からないからと、部屋干し用ラックで乾かそうと下着を取り出したのを見て、ぎょっとした。


己の羞恥心はどこ行ったんだよ。


使い方を教えてやり、乾燥機を回す事に成功したらしい川本は、俺のコーヒーを見て羨ましそうな目をしたので淹れてやった。





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