干物ハニーと冷酷ダーリン
次に目が覚めたのは、日も傾きかけている夕方頃だった。
完全に寝過ぎた。
さすがに朝も昼も食べないと、体調がすこぶる悪い。
飯を食べに行くかと準備をしてみて気付く。
あいつはどうなった?
今は一人ではなかった事を思い出した。
寝室からは物音一つしない。
俺も言えたもんじゃないが、寝過ぎだろ。
このまま置いていくわけにもいかず、寝室に入ってみるとベッドに芋虫状態で布団にくるまりかろうじて頭だけが見えている川本はまだ爆睡していた。
安定のちょうちんアンコウだ。
『……おい、川本。起きろ!』
「………………」
『川本!起きろ!』
「…っ!はっ、はい!すみません!!」
すげぇ勢いで飛び起きた川本は、まだ寝ぼけているのだろうな。
多分、ここを編集部だと思っている。
『飯、食いに行くぞ』
そう言うと川本は、一瞬だけ"は?"と言いたげな顔をしたまま暫く固まった。