干物ハニーと冷酷ダーリン
まぁ、普通なら現状の把握そして謝罪の一言からの慌てて準備をするのが、一般的な行動だと俺は思う。
だが、俺の読みの斜め上をいくのが川本という女だと知っている。
「え、、、あー食べに行った帰りでいいので、適当に何か買ってきてもらってもいいですか?」
この返しはいくらなんでもないだろうと思うのは俺だけか?
こいつ、フリーズしてる間にどんな脳内変換したらそうなるんだよ。
『………………』
「………………」
『………ああ?』
「……っ!う、嘘です、冗談です。行きます!」
何かを悟ったらしい川本は、慌ててベッドから抜け出した。
当たり前のように、俺の部屋着のまま行こうとする川本を脱衣場に放り込み乾燥されただろう元の服に着替えさせた。
その間僅か3分。
こういう時の干物女は準備が速くて非常に助かる。
が、寝癖のついた髪はどうにかしてもらいたい。
おもむろに自分の手を水に濡らし、跳ね上がっている川本の前髪を押さえつけてやった。
「…っいた!つめたっ!」
『寝癖は直せ』
一度では効かなかった寝癖を見た川本は、こんなんじゃダメですよ。とその前髪を蛇口に持っていきダイレクトに濡らしやがった。