干物ハニーと冷酷ダーリン
『…………川本……生きてるかー?』
「…はい。黒崎さんも健在で何よりです」
『…朝日が憎いなー』
「骨身に滲みますねー」
『…ケツの神経が死んだわー』
「あー、それ分かります」
頭がちょっとなこの会話。
今のあたし達には、これが精一杯なのです。
あの怒濤な追い込みを、続ける事4時間後。
午前6時を回った頃。
あたし達は、こうなった。
原稿を描き上げた望月先生を30分前に見送って、15分前に原稿を持った水城さんと滝くんが印刷所に向かう姿を見送った。
ぽつんと編集部に残されたあたしと黒崎さん。
どちらとも立ち上がる事もなく、ずっと座っている。
正確に言えば、立ち上がる気力すらないわたし達は、この場からどうする事も出来ないでいた。
ああ、このまま瞼を閉じれば確実に寝る。
せめて、二人が戻ってくるまで待っていようと思ってたけど、限界っぽい。
意識が遠退いていく中、最後に見たのは白目でテーブルに突っ伏している黒崎さんだった。